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飽き性のくせに次々と新しい設定を妄想して楽しむたかのんの自己満足専用ページ。掲示板にてつらつらと妄想語り進行中。『はじめに』を呼んでください。感想もらえると飛んで喜びます。掲示板は一見さんお断りに見えないこともないけれど、基本誰でも書き込みOKです。
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03:えへへ、来ちゃった
「えらいことになってしまった……」

 新しい家族との初顔合わせから一晩明けた翌日。昨日は金曜日かつ終業式であったため、今日から春休みである。
 自室の床に座り込みながら、俺はこれから訪れるであろう新たな生活に思いを馳せていた。

 新たに家族となった天空橋葉月と一つ屋根の下で共同生活。加えて言うならば親はいない。

 一昨日の俺に今現在俺がおかれている状況を語ったとしても「寝言は寝て言え」と返されて終わりだろう。
 それくらいにあらゆることが急転直下のジェットコースター式に進み、そして決定されていった。

 ――甲洋くんにも葉月にも悪いんだが、当分二人で暮らしてくれるかな。
 そう語った陽治さんに対して、俺は大事な愛娘を俺のような男子高校生と同棲させることの愚を説いた。必死に説いた。

「陽治さん、天空橋は見ての通りの美少女です」
「ふぇっ!? こ、甲洋くん……!?」
「そんな可愛い娘さんと、脳みそピンク色な男子高校生を同じ空間においておいたら事ですよ。何か間違いが起こったらどうしますか」

 こんな具合に陽治さんを説得しようとしたのだけれど。
 俺の言を聞いた陽治さんは朗らかに笑って、俺の肩を叩いた。

「そんな君だからこそ、心配はいらないと私は確信しているよ」
「あっはい」
  
 いや……陽治さんみたいなナイスミドルからあんな信頼向けられて首を横に降り続けることは俺にはできなかったね。
 あとその信頼を裏切ったらめちゃめちゃやばいことになるという確信めいた何かが俺の背筋を走った。

 ゆえに。俺、月守甲洋は天空橋葉月との同棲というシチュエーションからはもう逃れ得ないのである。

「ていうか……正直嬉しいですけどね。小躍りしたい程度には嬉しいですけどね」

 何度でも言う。天空橋葉月は美少女である。
 そんな彼女と一つ屋根の下で暮らすという展開は、とても魅力的であることもまた間違いではなかった。
 そもそも同年代の少女と同棲するなんて経験、いくら願おうとそうそう降って湧いてくるものでもない。ましてその相手が学園のアイドルときたら、そんな確率億に一つでも効かないだろう。

「幻滅させないようにしないとな」

 そう呟き、俺は自分の頬を叩いた。気合を入れねば。

「……よし、引越し準備しよ」

 母と俺、我ら月守家のふたりは、長年過ごしたアパートを後にして、天空橋家の住まいであるタワーマンションの一室に引っ越すことが決定している。

 部屋の隅に立てかけられているダンボールを成形し、俺は自室の整理に着手することに決めた。
 思い返せば、小学生の頃から過ごしてきた小さな部屋である。
 今まで世話になりました、なんて感傷に浸りながら、俺は手を動かしていった。

 * * *

「まあこんなところか?」

 俺の部屋はあまり大きくないし、物もあまりないから、荷物自体はダンボール三個分程にまとまった。
 これらの荷物には全部ガムテープを貼って、俺の部屋についての仕事は完了だ。
 物を運んだり座ったりを繰り返したせいで若干疲れの出てきた筋肉をほぐしながらリビングに出て、ソファに
腰を下ろす。
 母の荷物は既に昨晩のうちにまとめられているらしく、部屋の端に幾つかのダンボールが積み重なっているのが見えた。

「後は……なんだ?」

 他に残っている仕事といえば掃除くらいだろうか?
 少し休憩してから手をつけようと決めてソファに寝転がった直後、俺の耳は「ぴんぽーん」と来客を告げる音を捉えた。

 このタイミングで客か。まあ本格的に体が休みに入る前でよかった。
「はいはい待ってくださいねー」と言いつつ、俺は玄関のドアを開け放ち――。


「おはよう、月守くん」


 ――予想だにせぬ人物の来訪を受けた。
 いや、ある意味予想はできたかもしれない。だって目の前の彼女は既に俺の家族であり、義理のきょうだいなのだから。

 誰あろう。天空橋葉月、来襲である。

「て、天空橋……なんで?」
「えへへ、来ちゃった」

 ちろ、と紅い舌を出して悪戯げに笑う天空橋。かわいい。
 来ちゃったなら仕方ないよね、うん仕方ない。
 ……いやそうじゃなくて。可愛いけどそういうことじゃなくて。

「なんで来ちゃったんです……?」
「うん、引越しのお手伝いをしようと思ったの」

 ええ娘や……。
 俺から言える感想はそれに尽きた。
 さすがは我が東明高校の男子生徒人気ナンバーワンの美少女天空橋葉月と言わざるを得ない。
 引越しの手伝いのため、少し前まで大して話したこともなかったクラスメイトの男の家にわざわざ足を運んでくれる女の子がどこにいる? 
 ここにいるんですけどね。

「ありがとう、天空橋。でももうほとんど準備は終わっちまったんだ」
「え、そうだったの? そっか、ちょっと遅かったね……ごめんね」

 いやいやいや、何を謝ることがございますか天空橋さん。
 申し訳なさそうに瞳を伏せる天空橋に、逆にこっちが申し訳ないくらいだ。

「……っと、そ、そうだ。立ち話もなんだし、上がってくれ」

 と、そこで俺は玄関口に天空橋を立たせたままであることに気づいた。
 人をもてなせるほど綺麗な状態ではないが、お茶を出すくらいだったら出来る。

「いいの?」
「もちろん。……まぁ、ある意味ここも天空橋の家みたいなもんだし」
「え? あ、そっか……ふふ、そうだね」

 明日には立退くとはいえ、ここは月守の家であり、ひいてはその家族である天空橋の家でもある……と言えよう。
 俺のそんな思いを汲み取ってくれたのか、天空橋は少しはにかんだ笑みを見せ、言った。

「じゃあ、ただいま……なんちゃって」

「なんちゃって」ってフレーズ好きですよね、天空橋さん。
 そういうとこ、めっちゃ可愛いからちょっと勘弁して欲しかった。



「ごめん、コーヒーしかなかった」
「コーヒー好きだから嬉しいよ。ありがとう」

 ソファに座る天空橋に、片手に握ったマグカップを差し出す。
 天空橋は朗らかな笑みを見せながら礼を返し、カップを両手で包むように受け取った。
 それを見届けたのち、俺もまたソファに腰を下ろす。

 必然的に、俺と天空橋は隣り合う形になった。

「…………」
「…………」

 どちらも声を発さない。
 湯気を放つマグカップの中身に視線を落としつつ、どちらかが口を開くのを待っているーーように思えた。
 何かを喋ろうとは思うのだけれど、何を喋れば良いのかわからない。そんなところだろうか。少なくとも俺はそうだ。
 かと言って、この沈黙が心地の悪いものであるかと問われればそうでもなくて。
 まともに喋ったのなんてきっと昨日が初めてだろうに、俺は既に彼女に心を許しているような気がした。

「…………」
「…………」
「…………」
「……ねえ、月守くん」

 どれくらい沈黙が続いただろうか。
 その均衡を打ち破ったのは、天空橋のどこか不安を湛えたような声だった。
 視線は前方に向けたまま、俺は彼女に応える。

「……どうした?」
「うん、昨日のことなんだけどね」

 母の再婚。再婚相手の連れ子が天空橋。天空橋と当分の間同棲。
 昨日は何もかもが驚きとフリーズの連続だった。今朝も少し夢に出たからね。相当俺の心には衝撃的だったらしい。

「月守くん……私と一緒に暮らすのは嫌なのかなって思って」
「嫌じゃない。嬉しい」
「即答!? でも昨日は……」

 何か悩んでいるのかな、とは思ったがそれか。
 確かに昨日の俺の姿を見たら、天空橋との同棲を必死に回避しようとしているように映るよなぁ……。
 いや実際必死に回避しようとしていたんだが。もちろん今は受け入れる気満々である。
 だが、ここはしっかり誤解を解いておかねばなるまい。

 俺はソファの上に正座し、天空橋にその体を向けた。
 俺の視線を受けた天空橋もまた神妙な顔つきになり、いそいそとソファの上で正座を始める。
 わざわざ他人の奇行に合わせてしまう天空橋かわいい。

「……ごめん、天空橋に少し勘違いさせたかもしれない」
「勘違い」
「正直言って、天空橋と家族になれたことはとても嬉しいです」
「は、はいっ」

 俺の言葉に天空橋が背筋をピン、と正した。
 背筋を伸ばし胸を張るから、畢竟その豊かな胸部が押し出される形になる。圧倒的な視線吸引力だがここは耐えねば。
 本能で下を向こうとする首筋に力を入れ、天空橋の眉間に集中する。ここに焦点を合わせれば胸は視界に入らない。耐えろ俺。
 理性が軋む音を上げているのを感じながら、俺は続けて言葉を紡ぐ。

「だからこそ、折角家族になれたというのに、天空橋にもしものことがあったら申し訳ないなと思ったんです」
「もしものこととは?」
「言わせますか? 男子生徒に」

 そこまで言うと、天空橋は視線を宙に彷徨わせたのち「あー……」となんとも言えない声を漏らした。
 さらに何をか良くない想像をしたのか、頬と耳を朱に染めて「うー……」と声を漏らしながら半眼でこちらを見た。
 天空橋は恥ずかしがりつつ、若干の非難の眼差しを俺に向けている。かわいい。

 そんな風にかわいく唸る天空橋をいつまでも眺めていたかったが、少ししたのち、彼女は大きく深呼吸して平静を取り戻してしまった。残念。

「月守くんの言いたいことはわかりました。昨日の言動にも納得いきました」
「それはよかった」

 天空橋との同棲は魅力的だと声を大にして言える。
 だが、同時に俺は自分が完全に自制できるか、自信が持てなかったのだ。
 それが結局、陽治さんへの説得というあの言動に繋がったわけで。

「……でもね月守くん」
「うん?」

 天空橋が身をこちらに寄せ、耳元で何かを呟く。

「…………月守くん相手なら、もしもが起こってもいいかも」

 耳にかかる声。しっとりと濡れたような息。鼻孔をくすぐる甘い香り。そして極め付けはそのフレーズ。
 全てが俺の思考を絡め取るかのような魔性を放つ。

「なんちゃって。あははっ」

 さっ、と身を引いて。天空橋は楽しそうに笑う。
 本当に、本当に、その「なんちゃって」が好きですよね天空橋さん! かわいいけど体に毒なんですよ! わかります!?
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01:天空橋葉月の告白
「ありがとう。来てくれたんだね」

 放課後。体育館裏。目の前には女子生徒。
 こんな状況を前にして、いかに普段教室での影が薄かろうと、これから自らの身に降りかかる淡い青春ストーリーを幻視しない男子生徒がいるだろうか。いやいない。

 頬を朱く染めて、俯きがちな少女はか細い声でこう言うのだ。「突然呼び出してごめんね月守くん……実は私、ずっとあなたのことが好きでした」と。
 そして始まる青く甘酸っぱい青春ラブストーリー。
 順調に仲を深め、時には喧嘩もしながらその度により絆を深め、そして進学という大きな岐路を前に二人の出す答えは――みたいなね。うん、悪くないよね。むしろいい。

 まあ、件の女子生徒が普通の女子だったならば、そういう展開を夢想したりもしただろうけども。
 あいにくと、目の前の彼女相手にそういった展開を期待するのは難易度が高いと言わざるを得なかった。

 天空橋葉月。
 俺の目の前で静かに佇む彼女は所謂、学園のアイドルと呼ばれる存在だ。
 女優ばりに整った顔立ちを誇り、アーモンド型の大きく意思の強そうな瞳とスッと通った鼻筋の下に桜色の瑞々しい唇が眩しい。
 肩口を越えて伸ばされた亜麻色の髪は一本一本が美しく、風を受けて肩や背を滑るごとにふわりと舞っては煌めいた。
 スタイルも抜群によく、よく出、よく引き締まった体型をしている。水泳の授業など他のクラスからの見学者が続出したのが懐かしい。
 およそ外見に非の打ち所はなく、しかして内面はどうかといえばこれも全く悪いところがない。誰にでも優しく、穏やか。成績優秀でスポーツ万能。
 天が二物三物は与えたもうた存在、それが天空橋葉月である。

 入学以来、天空橋が告白を受けた回数は三十を超えると言われる。
 噂によればその美貌を聞き及んだ他校の生徒からも幾度となくアプローチを受けているのだとか。

 まあともかく。
 天空橋葉月は追うよりは追われる側のタイプの人間だ。そんな彼女がクラスメイトである以上の繋がりがない俺に対して告白するというのは、現実的ではない。都合のいい妄想に片足を突っ込んでいる。
 かといって、それ以外に何かあるのかと問われればそれも想像はつかないのだけれど。

「えーっと……俺を呼び出したのは天空橋であってるのか?」

 ブレザーのポケットに詰め込んだままだった便箋を取り出し、俺は問うた。
 今朝、登校してきた際に下駄箱で見つけたピンク色の可愛らしい便箋だ。
「大事なことをお伝えしたいので、放課後体育館裏に来てください」と可愛らしい字が踊るそれに、差出人の可憐な容姿を幻視してひとりテンション上げていたのが遠い昔に感じる。

「うん、あってるよ月守くん。あなたを呼び出したのはわたし」
「そ、そうか……」

 差出人が自分であると認める天空橋に、俺は間抜けな言葉を返すことしかできない。
 天空橋葉月は一体何を目的にこんな便箋を出し、そして俺を体育館裏に呼び出したのか。

「ふぅ……なんだか緊張するな。ごめんね、ちょっと深呼吸させて?」
「あ、ああ……」

 緊張してるのは俺も同じなのだが。
 すぅ、はぁーっと天空橋が可愛らしく深呼吸すると、その動きに連動してその豊かな胸部が揺れた。大事だからもう一度言う。ブレザー越しに揺れた。

「……よし、それじゃ言うね」
「は、はいっ」
「月守くん……いや、甲洋くん……ううん、それとも、お兄ちゃんって呼んだほうがいいかなあ?」

 ……。
 …………。

 時間が止まったような感覚に囚われる。
 え? お兄ちゃん? 誰が? 俺がか?
 天空橋が俺をお兄ちゃんと呼ぶということは、彼女は俺の妹ということか?
 いやいや待て待て、俺は一人っ子だ。家族はキャリアウーマンの母親一人だけ。
 妹や弟が欲しいなあと思ったことはあれど、存在した事実はない。
 まさか天空橋は生き別れの妹とかだったのか? それにしては顔の造形違いすぎないか? というかそもそも同い年の妹って双子じゃねーか。
 
 とにかく彼女の言葉が衝撃的すぎて、俺は二の句を継ぐことができなかった。

「あはは、固まってる。今日から家族なんだから、仲良くしようよ」
「…………え?」

 天空橋のさらなる発言に、俺はきっと信じられないほど間抜けなツラを晒していただろう。
 固まった俺を見た天空橋がとても可笑しそうに笑う姿を見て、そう思った。
クリスマスin三門島
《クリスマス・斑鳩本邸前》

聡介「あー……寒ぃ……」
伊吹「……同意する」
聡介「あのさ、これ何なん? 俺もう家帰って良い?」
伊吹「……本気で同意……」
聡介「何がクリスマスパーティしようぜ、だよ織のバカ」
伊吹「かれこれ一時間以上待ちぼうけているワケだが?」
聡介「雪の降る本邸前でね、寒い中、一時間。チャイムを鳴らせど人は来ず!」
伊吹「ピンポンダッシュすべき。名人吃驚の16連打を見せろ御浦」
聡介「おう、やるか、やったろか! 聖なるクリスマスにピンポン連打じゃ!」
伊吹「いけ!」
聡介「っしゃあ!」

ピンポンピンポンピンポンピンポン

聡介「来いよ織ぃ~。チャイムに誘われて出てきやがれ」
伊吹「……人の来る気配すらないワケだが」
聡介「……つか、今斑鳩邸に人いるのか?」
伊吹「……」
聡介「おい、あのクソ野郎、まさかクリスマスにトラップしかけやがったんじゃねーだろうな!」
伊吹「……否定できない」

聡介「俺がロンリークリスマスを過ごすと知っての所業かおいコラ織! 確かに家でのんびり過ごす予定だったがなあ! 華はねーがなあ!」
聡介「これはまずいだろ織君よ! クリスマスパーティに浮かれて家から出てきたみたいじゃねーか! 俺が!」
聡介「お前主催のパーティなんざ楽しみになんかしてねーからな!? この手にある荷物プレゼント交換用じゃねーしな!?」

伊吹「語るに落ちてる……というか、それ交換用だったのか……」
聡介「交換用じゃねーよ、違うんだよこれぁ」
伊吹「ふっ……」
聡介「何勝ち誇ってんだお前は。お前も俺の同類だろうが。サンタコスなんぞしやがって!」
伊吹「こ、これは織が仮装パーティだという虚偽の情報を……」
聡介「今時仮装パーティにミニスカサンタのコスで来るか普通! 絶対領域が眩しいです!」
伊吹「死ねばいいのに!」
聡介「聖なる夜なんだよテメエ、気になるのは男の性だろ!」
伊吹「死ねばいいのに!」
聡介「薫君はさあ、あれだよ? きっとデートだよ?」
伊吹「負け組が」
聡介「オメーにゃ言われたくねーよコスプレサンタ!」
伊吹「だからコスプレではなく仮装と言っとろうが!」
聡介「るせぇわミニスカ発情サンタが! 惜しげもなく太股晒しやがってからに!」

伊吹「相も変わらずデリカシーのない……」
聡介「五月蠅いわ! 襲われてーのかお前は!? お望みなら俺が襲ってやろうかボケェ!」
伊吹「はぁ!? 出来るものならやってみろチキン!」
聡介「んだとテメェこの、俺は今ご立腹だぞ! クリスマストラップのせいでカンカンだぞ!」
伊吹「私も変わらない。織に舐められるなぞ……屈辱だ」
聡介「優しくはないからな、覚えとけよ!」
伊吹「望むところだ、バカトナカイ。大人しく尻に敷かれてろ」
聡介「ようしよく言った、伊吹サンタさんよォ」スッ
伊吹「あっ」
聡介「何だよ、少し名前呼ばれただけで一気に弱気ちゃんですか? え?」
伊吹「死ねばいいのに、この、この……」
聡介「クリスマスだからって浮かれちゃってまあ」
伊吹「お前も変わらないだろうが!」
聡介「ふん、まあそれはともかく――」


織「……あれー、俺ってばひょっとして凄いシーン撮影しちゃってる?」ジーッ


聡介「 」クルッ
伊吹「 」クルッ
織「続けていいのよお二人さん。これドッキリ企画だから」
聡介「……」
伊吹「……」
織「聖なる夜のミニスカ発情サンタ……てな感じでどうでしょう」
聡介「石見……」
伊吹「……了解」スッ

織「あれ、ちょ、お二人さん、その袋何よ、ねえ?」
聡介「悪い子にお仕置きするサンタクロースもいるらしいじゃねえか? な?」
伊吹「とりあえず腹切れ、話はそれからだ」
織「あ、ちょ、ぎゃああああああ!?」
リトルシスターパニック
コンセプト:自分が頭を空っぽにして書けるラブコメディ。


01
02
リトルシスターパニック02
【あらすじ】
千織秋水には彩夏と冬乃、双子の妹がいるんだ!
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リトルシスターパニック01
【主な登場人物】
・千織秋水(ちおりしゅうすい)
・千織彩夏(ちおりさいか)
・千織冬乃(ちおりふゆの)
・西村(にしむら)
[続きを読む]
トライアングラー
《トライアングラー》

 真面目か不真面目かで語れば不真面目な方に分類されるような高校生活を送る俺は、日本史や現代文などの授業時間を屋上で過ごす。教室窓側一番後ろという高校生ならば誰もが一度は夢見羨むベストポジションで惰眠を貪るのも悪くはないのだが、どうせ寝るのであれば狭い机と椅子に固定されつつ夢の世界に飛ぶよりも、開放的な場所でトリップしたいと思うのが人の性。穏やかな昼過ぎの日差しと、俺を優しく撫でるそよ風のダブルコンボを心ゆくまで味わうことの出来る屋上はまさに俺のベストプレイスなわけだ。授業をボイコットして屋上で大の字に寝転ぶ己の奔放さに、心地よい背徳感を味わうことが出来るのも良い。
 兎に角、授業をサボって屋上で過ごすのは俺の人生に彩りを与える重要なファクターであり、趣味であり、日課であり、愉しみである。最早教師には呆れられているがためにお叱りを受けることはなく、勉学に勤しむことを最優先とする同級生たちから諫言を頂戴することもない。俺は全身全霊で屋上での時間を過ごすことが出来る。
 何人も俺のこの生き方を邪魔することは出来ない。する必要がない。
 ――と、思っていたのだったが。
「都筑君、あーん」
 突如口元にぐいっと押しつけられた煮物を前に、一旦の思考中断。眼前には、学年でもそこそこの人気を誇る少女が弁当箱を左手に持ち、右手の箸で摘んだ料理をこちらへと押しつけている姿が飛び込む。いつの間にかここまでの接近を許していたらしい。不覚。
 俺はその少女の右手を軽く押し退け、体をずらすことで手料理攻撃を回避する。その際に少女が悲しそうな顔を覗かせたりするが俺の良心に響くかと言えばまったくそんなことはない。誰が媚薬入りの手料理を喜んで食すものか。
「都筑君に喜んで欲しかったから折角朝早起きして作ったのに」
「早起きして媚薬を仕込んだのか……」
 今泉香奈恵。それがこの少女の名だ。学内のアイドルとまではいかないが、校内ミスコンなどを開催してみればトップ10には入るくらいの人気を持つという少女。綺麗というよりも可愛いといった印象が先に立つ、小動物然とした雰囲気がチャームポイントであるらしい。何でもかんでもこの少女に対する印象が他人からの風評をそのまま説明している具合になるのは、結局俺はこいつに対して一つの感情しか抱いていないからに他ならない。
 俺にとってこいつは敵だ。完膚無きまでに敵だ。完全無欠のエネミーだ。俺の愉快で素敵で楽しい屋上ライフをぶちこわしにかかってくる破壊神とでも言っておくか。とにかく敵。何が何でも敵。
 一週間ほど前からふらりと屋上に姿を見せるようになってから、この女は何かと俺に付きまとう。そりゃあ俺だって男子高校生だから、初めのうちはまんざらでもなかったが、徐々にその行動がエスカレートしてくるのが不味かった。三日前にこいつがくれた手料理に痺れ薬が仕込まれていたあたりから、完璧に俺の中ではエネミー認定と相成った。
「わかってるよ。やっぱり征一朗は僕の料理が食べたいんだよね」
 続いて、男の声が風に乗って耳に飛んでくる。若干軽めのその声に俺は体を硬くし、今泉は一転して不機嫌そうな表情を見せる。こつこつこつ、と背後から忍び寄る足音。俺は転がるようにして足音から遠ざかり、出来るだけ早めに屋上から逃げ出せるように意識を屋上出入り口の鉄扉に集中した。……俺の安息の地であるはずの屋上から逃げ出すことを考えるようになるとは、いよいよ俺も毒されてきたような気がするな。
「何の用ですか、忍君」
「カナと同じに決まってるだろ? 僕の愛を届けに来たのさ」
「止めろマジで」
 二人の会話は聞き捨てならないので、思わずツッコミを入れる。
 屋上に現われた第二の敵、元町忍。学内でもそこそこ顔の知れた優男で、今までに幾人もの女子からの告白を受けているらしい。纏う空気は軽めだが、不誠実といった風ではなく、良くも悪くも今風の男子高校生と言った体なんだとか。この説明も二度目だが、俺が元町に対する印象を述べるに当たって他者からの評価を引用しているのは俺にとってこの男があくまで敵以外の何物でもないからである。
 今泉と同じ頃に屋上へと姿を見せた元町は何かと――背筋に冷や汗が流れるが――俺に付きまとう。俺は一般的ではないかも知れないが男子高校生であるので、同性よりも異性への興味の方が大きい。しかしこの男に至ってはそれが真逆のようで、こう、俺に魅力を感じているらしい。マジで。
 俺にとってこいつは敵だ。敵以外の何物でもないし、俺の絶対防御領域たる括約筋を犯さんと迫り来る魔物である。俺のニコニコ平穏屋上ライフをぶち壊すどころかズコバコハッテン屋上ライフへと塗り替えようとしているエネミーだ。目下最大の敵と言っても過言ではないというか、なんというか……。
「それじゃあ征一朗、カナの弁当を食べてないようだから僕の手料理をどうぞ」
「食わないぞ。そもそも今は五時限目だからな」
 なんでこの二人は堂々と授業をサボっているのだろう。いや、俺が言えた義理ではないが、この二人はどちらも優等生にカテゴライズされる模範的な生徒だったはずだ。それがどうしてこうなった。
「待って忍君。変な薬入れてたら承知しないよ」
「お前が言うな!」
 自分のトンデモない行いを棚に上げる今泉に鋭くツッコミを入れつつ、俺は元町に視線を向ける。
「何度も言うが、俺は別にお前らの手料理なんか欲しくない。そもそも俺は一人で屋上にいたい」
「一人より二人の方が気持ちいいよ、征一朗。大丈夫、僕がリードする!」
「私もそう思う! 初めてだけど予習はバッチリだから安心して貫いて!」
「お前ら手料理から一気に話すっ飛ばしただろ!」
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