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飽き性のくせに次々と新しい設定を妄想して楽しむたかのんの自己満足専用ページ。掲示板にてつらつらと妄想語り進行中。『はじめに』を呼んでください。感想もらえると飛んで喜びます。掲示板は一見さんお断りに見えないこともないけれど、基本誰でも書き込みOKです。
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トライアングラー
《トライアングラー》

 真面目か不真面目かで語れば不真面目な方に分類されるような高校生活を送る俺は、日本史や現代文などの授業時間を屋上で過ごす。教室窓側一番後ろという高校生ならば誰もが一度は夢見羨むベストポジションで惰眠を貪るのも悪くはないのだが、どうせ寝るのであれば狭い机と椅子に固定されつつ夢の世界に飛ぶよりも、開放的な場所でトリップしたいと思うのが人の性。穏やかな昼過ぎの日差しと、俺を優しく撫でるそよ風のダブルコンボを心ゆくまで味わうことの出来る屋上はまさに俺のベストプレイスなわけだ。授業をボイコットして屋上で大の字に寝転ぶ己の奔放さに、心地よい背徳感を味わうことが出来るのも良い。
 兎に角、授業をサボって屋上で過ごすのは俺の人生に彩りを与える重要なファクターであり、趣味であり、日課であり、愉しみである。最早教師には呆れられているがためにお叱りを受けることはなく、勉学に勤しむことを最優先とする同級生たちから諫言を頂戴することもない。俺は全身全霊で屋上での時間を過ごすことが出来る。
 何人も俺のこの生き方を邪魔することは出来ない。する必要がない。
 ――と、思っていたのだったが。
「都筑君、あーん」
 突如口元にぐいっと押しつけられた煮物を前に、一旦の思考中断。眼前には、学年でもそこそこの人気を誇る少女が弁当箱を左手に持ち、右手の箸で摘んだ料理をこちらへと押しつけている姿が飛び込む。いつの間にかここまでの接近を許していたらしい。不覚。
 俺はその少女の右手を軽く押し退け、体をずらすことで手料理攻撃を回避する。その際に少女が悲しそうな顔を覗かせたりするが俺の良心に響くかと言えばまったくそんなことはない。誰が媚薬入りの手料理を喜んで食すものか。
「都筑君に喜んで欲しかったから折角朝早起きして作ったのに」
「早起きして媚薬を仕込んだのか……」
 今泉香奈恵。それがこの少女の名だ。学内のアイドルとまではいかないが、校内ミスコンなどを開催してみればトップ10には入るくらいの人気を持つという少女。綺麗というよりも可愛いといった印象が先に立つ、小動物然とした雰囲気がチャームポイントであるらしい。何でもかんでもこの少女に対する印象が他人からの風評をそのまま説明している具合になるのは、結局俺はこいつに対して一つの感情しか抱いていないからに他ならない。
 俺にとってこいつは敵だ。完膚無きまでに敵だ。完全無欠のエネミーだ。俺の愉快で素敵で楽しい屋上ライフをぶちこわしにかかってくる破壊神とでも言っておくか。とにかく敵。何が何でも敵。
 一週間ほど前からふらりと屋上に姿を見せるようになってから、この女は何かと俺に付きまとう。そりゃあ俺だって男子高校生だから、初めのうちはまんざらでもなかったが、徐々にその行動がエスカレートしてくるのが不味かった。三日前にこいつがくれた手料理に痺れ薬が仕込まれていたあたりから、完璧に俺の中ではエネミー認定と相成った。
「わかってるよ。やっぱり征一朗は僕の料理が食べたいんだよね」
 続いて、男の声が風に乗って耳に飛んでくる。若干軽めのその声に俺は体を硬くし、今泉は一転して不機嫌そうな表情を見せる。こつこつこつ、と背後から忍び寄る足音。俺は転がるようにして足音から遠ざかり、出来るだけ早めに屋上から逃げ出せるように意識を屋上出入り口の鉄扉に集中した。……俺の安息の地であるはずの屋上から逃げ出すことを考えるようになるとは、いよいよ俺も毒されてきたような気がするな。
「何の用ですか、忍君」
「カナと同じに決まってるだろ? 僕の愛を届けに来たのさ」
「止めろマジで」
 二人の会話は聞き捨てならないので、思わずツッコミを入れる。
 屋上に現われた第二の敵、元町忍。学内でもそこそこ顔の知れた優男で、今までに幾人もの女子からの告白を受けているらしい。纏う空気は軽めだが、不誠実といった風ではなく、良くも悪くも今風の男子高校生と言った体なんだとか。この説明も二度目だが、俺が元町に対する印象を述べるに当たって他者からの評価を引用しているのは俺にとってこの男があくまで敵以外の何物でもないからである。
 今泉と同じ頃に屋上へと姿を見せた元町は何かと――背筋に冷や汗が流れるが――俺に付きまとう。俺は一般的ではないかも知れないが男子高校生であるので、同性よりも異性への興味の方が大きい。しかしこの男に至ってはそれが真逆のようで、こう、俺に魅力を感じているらしい。マジで。
 俺にとってこいつは敵だ。敵以外の何物でもないし、俺の絶対防御領域たる括約筋を犯さんと迫り来る魔物である。俺のニコニコ平穏屋上ライフをぶち壊すどころかズコバコハッテン屋上ライフへと塗り替えようとしているエネミーだ。目下最大の敵と言っても過言ではないというか、なんというか……。
「それじゃあ征一朗、カナの弁当を食べてないようだから僕の手料理をどうぞ」
「食わないぞ。そもそも今は五時限目だからな」
 なんでこの二人は堂々と授業をサボっているのだろう。いや、俺が言えた義理ではないが、この二人はどちらも優等生にカテゴライズされる模範的な生徒だったはずだ。それがどうしてこうなった。
「待って忍君。変な薬入れてたら承知しないよ」
「お前が言うな!」
 自分のトンデモない行いを棚に上げる今泉に鋭くツッコミを入れつつ、俺は元町に視線を向ける。
「何度も言うが、俺は別にお前らの手料理なんか欲しくない。そもそも俺は一人で屋上にいたい」
「一人より二人の方が気持ちいいよ、征一朗。大丈夫、僕がリードする!」
「私もそう思う! 初めてだけど予習はバッチリだから安心して貫いて!」
「お前ら手料理から一気に話すっ飛ばしただろ!」
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